
コロンビアには遥か昔から、コーヒー栽培に励む人々を、優しく力強く包み込むエネルギーに満ちた場所があります。
コロンビア北部に沿岸地域の山岳地帯としては世界で最も高い、標高約5800メートル級の山々が連なるサンマルタのシエラネバダ山脈があります。そこには今もなお、大地の大いなる力を信仰する先住民族のコミュニティによって守られているコーヒー栽培地があります。(写真はアルワコ族)

コロンビアのコーヒー栽培にとっても、そこは大変重要な歴史がある場所です。その歴史は驚くことに300年もの間、脈々と受け継がれてきたのでした。彼らの祖先が、部族間の意思の疎通や、自分たちの文化を確固たるものにするための手段として築き上げてきた風習と共に、コーヒー栽培もまた、彼らの伝統文化となりました。
コーヒーは、シエラネバダに生きる彼らの生活様式そのもの。コーヒー栽培への熱意や愛情、また自然に対する畏怖の念や感謝が、日々の生活の中で息づいています。

彼らは、コーヒーの種まきの前に、霊的な儀式を執り行う“マモ”と呼ばれる指導者のもと、大地、土、田畑に対して、それらを利用する許しを得るための祈りを捧げ、その年に植える全ての種を踊りで称えます。

収穫時も豆まきの時と同様に、一年に一度、部族一同で天を仰ぎ、大地に敬意を払い、地球への感謝をささげる儀式を行います。
もし、今日あなたが手にしているコーヒーがシエラネバダ産のものなら、ひと口味わう時に思い出して下さい。その背後には、母なる大地と人間の調和を重んじ、コーヒー豆一粒ひと粒を繊細に扱い、栽培している人々がいます。